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 2008年8月末の夜、札幌駅でバルブ撮影をして遊んでいた。DD51 1068の牽引で入線してきた急行「はまなす」の機関車次位に、見なれない客車が付いている。


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 連結されていたのは、高速軌道検測車マヤ34 2008。手前の貫通扉の窓に「手ブレーキ 機関側出入り台にあります」と張り紙がある。


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 丸みのない車体に、出っ張った見張り窓。赤色反射板は前後とも常時取り付けられているようだ。反射板のかけ方から見ても、車両の尾灯はまったく使っていないのだろう。


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 車体の塗装は、青15号に黄色1号の帯が2本。国鉄事業用車両の標準だ。この写真の左隅、および次の写真の右側に写っている、2つ並んだ機器搬入口(?)は、2004(平成14)年3月の更新工事で、元々あった窓と扉を埋めて新設されたもの。


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 「高速軌道試験車」の表記と車番は、車体中央に位置しているが、更新前は、車体中央からずれた位置、間隔の狭い冷房装置の直下あたりにあった。現在は、車番の前にGマーク(横軽通過可能を示す直径40mmの丸)が書かれているという。


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 マヤ34増備車の特徴だった、屋根上の大きなラジエーターは、更新工事によるディーゼル発電機関の交換に伴ってなくなり、代わりにフックのついた蓋が載せられている。


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 出発直前、ライトがついて路面を照らす。検測開始だ。3つの台車はいずれも、中央に測定用の小車輪をもつTR202。台車形式は同じだが、中央台車の枕バネは空気バネで、両端台車はコイルバネという差異がある。


 マヤ34は、軌道の状態を動的に測定できる初の車両として、1960年から1981年にかけて10両が新製された。測定は、5m間隔で設置された、各台車中央の測定用の小車輪の動きを検出することで行う。この際、車体を測定基準として用いるため、走行中の振動によって生じる車体のたわみを、中央部で±0.25mm以下にするように求められた。車体を強固にするため、構体には通常よりも大きな部材が用いられ、現車試験により問題のないことが確認されている。

 マヤ34 2008は、8両目にあたる1978年の増備車で、日立製作所製。以前のマヤ34と比べると、14系客車に準じて車体幅が広がり、側面の監視窓の出っ張りが小さくなって、同様に側面に出っ張っていたディーゼル発電機用のラジエーターは、屋根上に移された。1987年の国鉄民営化の時、JR各社には9両のマヤ34が引き継がれたが、2014年現在現役なのは、北海道の2008と九州の2009のみである。マヤ34 2008は、2004年の更新改造に引き続き、2012年3月に苗穂工場で全般検査を受け、今も北海道各線を検測して回っている。「はまなす」にもたびたび連結されているようだ。

 「高速軌道試験車」の名の通り、マヤ34の測定最高速度は製作時で120km/hに達し、寝台特急に併結されての検測も行われた。現在のマヤ34 2008の検測能力は不明だが、「はまなす」の青函トンネル内での最高速度、110km/hも問題はないのだろう。

 ただ、軌道の狂いがわかることと、軌道の保守ができることは、当然ながら別次元の問題である。