ポッポ広場のD52形(2016年8月)
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御殿場駅の北には「ポッポ広場」という名の公園があり、D52形72号機が保存されている。同機は1944(昭和19)年5月に川崎車輌兵庫工場で竣工、1954(昭和29)年12月以降、国府津機関区に所属し御殿場線で活躍した。電化に伴い、同線の蒸気機関車は1968(昭和43)年6月30日に引退する。D52形72号機はこの最終日を、正面にヘッドマークを掲げ、煙室扉周りに花飾りをちりばめ、側面にメッセージボードを載せた、派手な装いで過ごした。廃車は同年の8月8日付。同機は解体を免れ、国府津機関区の扇形庫内に長らく保管されたのち、1978(昭和53)年7月から御殿場市内の湯沢平公園に展示された。現在地への移動と整備が行われたのは、2010(平成22)年の9月から11月にかけてのことである。
戦時急造のため、代用資材を用いた部分が多く、出来もよろしくなかったD52形は、戦後に状態改善のための整備が行われた。72号機の場合、運転室の側面の「日本国有鉄道 浜松工場 昭和30年」の円形の銘板と、除煙板の穴から見える「ボイラ浜松工場製 昭和34年2月」と書かれた小さな長方形の銘板が、その整備の証である。
現在、72号機の前面のナンバープレートは湾曲している。オリジナルは鋳造のはずで、このように歪むとは思えない。また、この曲がったナンバープレートの四隅のボルトは、現役時代にはなかったものだ。WEB上の写真を確認すると、引退後の国府津での保管中に、盗難にでも遭ったのか、元のプレートが消え、おそらく現在と同じ木製のものが取り付けられたことがわかる。なお、72号機の炭水車後部のナンバープレートも消失していて、こちらはレプリカもないまま、取り付け用の足のみが今も虚しく残っている。
(2016年8月、御殿場駅)