カテゴリ:
_MG_5321
_MG_5352_MG_5401
_MG_5389_MG_5354
 復元整備された川崎航空機キ61こと三式戦闘機「飛燕」。川崎重工業120周年記念展ということで、10月15日から11月3日まで神戸ポートターミナルに展示された。平日の昼間に見に行ったが、結構な人出があった。入場無料で撮影自由、上方からも観察可能と至れり尽くせり。
 アルクラッド製で無塗装の機体が再現され、液冷エンジン搭載のため細い機首、その上面の防眩用の黒色、主翼前縁の味方識別用の黄色、小豆色のプロペラとその翼端標識の黄色、と各部の塗装が目立つ。
 この機体は、「飛燕」二型改増加試作17号機(6017号機)で、陸軍航空審査部飛行実験部に所属し、1945年の終戦を福生飛行場(現・横田基地)で迎えた。残存していた日本陸海軍機が破壊されるなか、本機はキ115「剣」の1機とともに残され、米軍により横田基地にしばらく展示されていた。その後、日本全国を展示巡回し、1963年に米軍の手により整備を受け、再び全国を巡回、1986年からは長らく、知覧特攻平和会館に置かれていた。
 10年ほど前に知覧を訪れたとき、私はこの「飛燕」を目にしているはずなのだが、まったく記憶にない。知覧の館内は撮影禁止だったため、記録も手元にない。ただ、ネットの情報によれば(ココがとても詳しい)、本機は所属したはずのない飛行第244戦隊の塗装をまとい、1945年6月6日に知覧から沖縄方面へ特攻出撃した第159振武隊・第160振武隊の出撃シーンの再現に使われていたようだ。
 今回、この「飛燕」が川崎重工業と日本航空協会の手によりオリジナルの姿に戻され、 各務原の航空宇宙科学博物館に収蔵されることになったのは、誠に慶祝の至りである。
 ただ、会場に流れていたビデオで「昼休みも返上して作業を頑張りました」という若い社員の台詞を聞かされるのは、辛いものがあった。

【参考】
「破壊された日本軍機」三樹書房(2004)
「日本陸軍軍用機パーフェクトガイド1910〜1945」学習研究社(2005)
 会場内のパネル展示

(2016年10月)